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PMTC

正しい「PMTC」を知ろう!

ネット上で歯科医院を検索してみると、「PMTC」という言葉を見かけることがあります。特に予防歯科や審美歯科に力を入れている歯科医院では、それが「売り」になっているようです。

実際にインターネットで「PMTC」を検索してみると、約10年前には8000件程度だったものが、2010年2月現在では17600件(MSNサーチ)ものヒット数があります。Yahoo Japanで検索すると、なんと200万件を超えます。そのほとんどが歯科関連です。

歯科医院で勧められる「PMTC」は、本来の目的からかけ離れたものであることを知っている歯科医は、ほとんどいません。多くの場合、「PMTC」を「歯磨きでは落ちない歯の汚れを専用機器でクリーニングする歯のエステ」のように捉えている節があります。


ところが、本来の「PMTC」はそのようなものではないのです。「PMTC」は、Professional mechanical tooth-cleaningの略で、主に歯周病の治療のために専門家(歯科医師・歯科衛生士)が行う機械的な歯の清掃を意味します。

虫歯や歯周病の「予防」や歯周病の「治療」において、その基本はセルフケアによるプラックコントロール(歯ブラシによる歯面清掃)です。ところが歯ブラシやフロスで落とせるプラック(細菌の集合体)は、原則として歯肉から上の歯面に限られます。

歯と歯の間も管理しにくいところですが、さらに厄介なことにプラックは、歯と歯肉との隙間(歯肉溝)や、歯周病によって病的に深くなった歯周ポケット内の根面にも付着しています。そのような表から見えない部位(歯肉縁下)のプラックコントロールは、歯科医や歯科衛生士という専門家が行うしかありません。

歯肉縁下の処置には、一般的に歯石の除去(スケーリング)や歯根の表面を滑沢にする(ルートプレーニング)があります。ところが、歯石の付着もなく歯根面にも問題がなくても、歯根面上のプラック除去が必要なケースもあるのです。というより、歯周病の治療や予防では、むしろその方が多いのです。

「PMTC」は、それを解決することを目的に考え出されたと言えるでしょう。この言葉を作った研究者は、原著の中で「PMTC」を「prophylaxis(口腔の清掃)」や「polishing(研磨)」と混同してならないと明言していることからすると、これは単なる歯のクリーニングではなく、主に歯周病の治療行為ということになります。

ところが日本では、誤った「PMTC」が一人歩きをしています。その結果、医療行為のはずの
「PMTC」が、「最新の歯のクリーニング法」や「歯のエステ」にまでおとしめられているのです。


これほどいい加減な「PMTC」が広まった背景には、歯科医院に専用機器を売り込むために都合よく解釈した「PMTC」を、講習会を利用して広めた企業の戦略と、目新しい物好きで、手っ取り早く収益が上がる情報に弱い歯科医の特性がうまく合致したことが想像できます。

歯周病の治療においては、現在「periodontal debridement」という治療概念が定着しています。それは、歯肉縁下の総合的なプラックコントロールの概念ですので、当然「PMTC」の概念も含まれます。したがって、歯周病の治療や予防に真剣に取り組んでいる歯科医院では、現在流行っているような「PMTC」のあり方には憤りを感じているはずです。

また「PMTC」は、もともと医療行為なのですから、本当に必要かどうかの判断が不可欠です。ですから、「当院ではPMTCをやっています」とか、初診の患者さんに、いきなり「PMTC」を勧めるような感覚は、営利目的と疑われても仕方がないと思います。


ちまたの「PMTC」を受けた人は、「気持ちがいい」とか「さっぱりする」といった程度の感想を持つようですが、それには医学的な意味はほとんどなく、そのような「PMTC」の効果は洗髪程度のものだと思って間違いありません。