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レーザー治療

歯科におけるレーザー治療のあり方を考える

❑「レーザー」は治療のための道具のひとつ
❑歯科における「レーザー治療」の効果
❑歯科における「レーザー」のあり方

アドバイス



「レーザー」は治療のための道具のひとつ


私と「レーザー」との出会いは、趣味の競技スキーの練習中に転倒して、両眼の網膜剥離を起こしたことがきっかけでした。緊急入院した私は、担当医から、重症の左目は外科手術が必要であるが、右目はレーザーで剥離部を凝固させるという説明を受けました。

医科では、医療用レーザーが治療のための道具のひとつとして普及しています。何も特別な機器ではありません。それは、主にメスの役目を担っていると思っていいでしょう。また美容外科や形成外科では、レーザーがシミ・ソバカスの除去や、脱毛などにも利用されています。

さて、歯科ではどうでしょうか。インターネット上では、よく「レーザー治療」を紹介している歯科医院のサイトを見かけます。ここでは、歯科における「レーザー治療」の効果について検証してみたいと思います。

 

歯科における「レーザー治療」の効果


一般的に説明されている歯科における「レーザー治療」の主な効果には、虫歯の進行抑制、歯周病の症状軽減、顎関節症の症状軽減、歯肉のメラニン色素沈着除去、象牙質知覚過敏症の症状軽減、レーザーメスとしての使用などが挙げられています。

これらの効果を注意して眺めてみると、まず気がつくことがあります。それは、その効果が「症状の軽減」とか「進行の抑制」となっていて、けっして「治療できる」とか「治る」とは言っていないことです。

「レーザー」で虫歯や歯周病や顎関節症が治せないことくらい、まともな歯科医なら誰でも知っていることです。虫歯や歯周病や顎関節症の原因を考えれば、これらの疾患が、理屈からしても「レーザー」で治るような性質の病気ではないからです。

つまり、歯科における「レーザー治療」なるものの効果は、病気の自覚症状を一時的に緩和させる程度だということです。しかも、「レーザー治療」が保険適用外であることから、そのコストパフォーマンスは、きわめて低いと言わざるを得ません。

 

歯科における「レーザー」のあり方


器具・機材・材料は、あくまでも治療のための道具(手段)にしか過ぎません。現在の歯科領域での「レーザー」のあり方は、治療に必須だから使われているのではなくて、初めに「レーザー有りき」で、それが何に使えるのかといったような発想と言えるでしょう。

「せっかくこの道具があるのだから、何かに使ってみよう」という発想は、職人の発想です。少なくとも怪我や病気の治療を使命にしている医者の発想ではありません。医者ならば怪我や病気を治すために、医学的根拠に基づいた医療行為を選択するはずです。

生体に対する侵襲や副作用が少なく、しかも治療の目的が達成されるのなら、高価なレーザー機器を使用する意味はあるでしょう。大切なのは、医師(歯科医師)としての診断(判断)能力です。優れた医者は無駄なことをしません。それは、病気の治療において何が必要で、何が不必要なのかを見極める能力が高いことを意味します。

 

アドバイス


開業して18年、その前から含めると約25年の臨床経験があるわたしの場合、現在までに、虫歯や歯周病や顎関節症の治療で「レーザー」の必要性に迫られた経験は皆無です。

仮に、「レーザー」が歯肉のメラニン色素沈着や象牙質知覚過敏症において、既存の治療法と同程度の効果があったとしても、高価な機器をそろえることは、結局のところ、患者さんの負担に跳ね返るわけですから、現時点で私はレーザーの必要性を感じていません。

先日、初診の患者さんから「ここではレーザー治療をしていますか」と聞かれました。問診の結果、ひどい歯周病に罹患しているこの患者さんは、前医の勧めで、歯周病治療のために長期にわたって「レーザー治療」なるものを受けていました。患部にレーザーを当てると、一時的に症状が緩和されたようですが、肝心の歯周病は治らず仕舞いで、結局、この方は転医を決断することになったのです。

「レーザー」は魔法の光線ではありません。情報に惑わされず、病気は医学的根拠のある方法で治しましょう。